郷土料理ものがたり紀行    宮崎編

南国ならではの温暖な気候が育んだ自然食材の宝庫

  • text : 田中理恵
  • photo : 本井信哉
  • edit : nano.associates 竹内せいじ

chapter 5「飢饉を救った宮崎の食と多種多様な食材」

このように同じ県内にありながら、多彩な地域性を持つ宮崎の郷土料理について、最後に、宮崎県史の編纂にも関わったという宮崎県立宮崎工業高等学校の若山浩章(こうしょう)副校長にその背景をうかがってみました。
「宮崎における全体的な料理の特徴としてはやはり北から南まで広域に渡る土地から生まれる食材の豊富さでしょうね。もちろんそこには生産者の方々の努力があったのだと思いますが、宮崎の歴史のなかで飢饉の資料は見たことがあっても餓死の資料はないんですよ。それだけ何らかの食材がとれる地域だったのかと思います」と若山副校長。椎葉の菜豆腐やわくどう汁、延岡の鮎、宮崎市周辺の冷や汁など、古くは平安や江戸時代まで遡る歴史があるそうですが、そういった時代から「とれたての食材を活かした料理」が食されていた宮崎は、確たる“名物料理”はなくとも、地域の気候や風土を素朴に映し出す農業県ならではの醍醐味が溢れているとも言えるのです。

 

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「とれたての食材を味わえるのも宮崎の特色の一つ」という若山副校長

若山浩章(こうしょう)さん

昭和33年生まれ、宮崎県出身。
宮崎県立宮崎工業高等学校・副校長。
宮崎県地域史研究会代表。

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