郷土料理ものがたり紀行    香川編

醤油が導く香川の食文化

  • text : GOOD NEWS 佐々木 和
  • photo : せとうちカメラ 中村政秀
  • edit : nano.associates 竹内せいじ

chapter 4「お互いの良さを引きだす醤油とそうめん」

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香川県は麺文化の花開く土地で、うどんのほかに手延べそうめんも有名です。日本三大そうめんのひとつにも数えられており、小豆島を中心に多くのメーカーがあります。小豆島にそうめんの製法が伝わったのは約400年前と伝えられています。島には、そうめんを細く伸ばす時に使われるゴマ油の製油所、ツユに必要な醤油の醸造所の両方があり、そうめんが産業として発展したこともうなずけます。島の人にとっては、冷たくしたり、温かくしたり、年中そうめんを食べるのは当たり前です。麺をカットした時に残る「ふし」と呼ばれるU字の部分も、みそ汁などに入れて食感を楽しんでいます。

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小豆島のそうめんには小豆島の醤油を使ったツユが一番と語る高橋昌紀社長

小豆島の手延べそうめんは有名ですが、観光客にとって残念なことは、島内にそうめんを出す飲食店が少ないことです。どの家にもある当たり前の食べ物なので、わざわざ店を出す人がいないのです。その状況を危惧して、そうめん店を出しているのが「作兵衛」です。本業は手延べそうめんメーカーですが、自社工場でつくられたそうめんを年中提供しています。コシがあり、のど越しがよいと評判で、観光客だけでなく島の人も常連客になっています。作兵衛の味を引き立てているのは、小豆島の醤油からつくられたツユ。社長の高橋昌紀さんは「小豆島のそうめんをおいしく食べるなら、同じ風土の中で育まれた小豆島の醤油を使うのが一番」と、相性の良さを強調します。そうめんと醤油、両方のおいしさをお互いが引きだしているそうです。ところで、そうめんといえば夏のイメージがありますが、高橋さんは冬の冷たいそうめんもおすすめしています。「暖かい部屋で、冷たいそうめんを食べるのは格別だ」そうで、作兵衛では冬でも冷たいそうめんが人気です。

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