郷土料理ものがたり紀行 香川編
香川の醤油醸造所は小豆島だけでなく、高松市、坂出市、東かがわ市などにも残っています。そのひとつ、東かがわ市の「かめびし」では、醤油の味を知ってもらう入口として、うどん店「かめびし屋」を経営しています。提供しているのは、ダシの代わりに醤油を直接うどんにかける「醤油うどん」と、かめびし屋オリジナルの「もろみうどん」の2種類です。「まず試して欲しいのが醤油うどんです。シンプルにうどんを楽しむ食べ方ですが、醤油がいいと、どれほどうどんがおいしくなるか実感いただけます」と自信をのぞかせるのは、スタッフの廣瀬和也さん。醤油うどんは、香川を代表する2つの食文化が1杯の中に調和しています。醤油を搾る前のもろみをかけうどんにトッピングした「もろみうどん」も、見た目と違って塩辛さはなく、豊かな香りに食欲をそそられます。
かめびしは、創業260年、現在の当主で18代目となる老舗です。東かがわ市の古い町並みの中にあり、建物の一部は有形登録文化財に指定されています。昔からの伝統を守っており、むしろの上で麹を発酵させる「むしろ麹」製法を今でも続ける唯一の醤油蔵です。杉の木桶に仕込み、2年、3年と長い時間をかけて醸造させていきますが、中には30年以上経つ桶もあります。ゆっくり旨みを引きだした醤油は、料理界のプロにも支持され、ミシュランで星を獲得している、イタリアやフランスのシェフから注文が入るそうです。その一方で、新しい商品開発にも力を入れています。フリーズドライ製法により醤油を粉末状にした調味料「ソイソルト」や、醤油入りのチョコレート「ソイショコラ」はそのひとつ。伝統製法の醤油やだし醤油と合わせて、お土産としても人気です。
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